Sunday, October 19, 2008

症例A - 多島斗志之

「多重人格」(「解離性同一性障害」)、「精神分裂病」(2002年より「統合失調症」に名称変更された。作品では病名そのものが与えうる不安や恐怖についても触れられている)、鬱病、境界例・・・耳にはなじんでいるが、ぼんやりと名前を知っていただけなんだと実感。

舞台となる病院はきわめて良心的な施設で、精神科医の榊(主人公)、その前任者、そして岐戸などの誠実な診察過程が細かく描きこまれていて、ものすごくリアル。さらに臨床心理士の広瀬(もう一人の主人公)の存在がドラマチック(派手)。医療の側面だけでも読みごたえは十分。これに榊の前任者の事件と東京都博物館の過去にまつわる謎が加わってミステリ仕立てになっている。医療方面だけの方がよかったんじゃないか、という気もしないでもない。でも、都博関係を削るとミステリにならない?というか「お話」に仕立てにくいかも・・・。 

大筋とはあまり関係ないが、ガリバーの逸話も目を引いた。『ガリバー旅行記』を読み返したくなった。

症例A (角川文庫)
症例A (角川文庫)多島 斗志之

おすすめ平均
stars心の闇
starsうーん・・・
starsリアリティ故に
stars「科学」と「文学」との狭間で
stars「多重人格」さえ無ければ

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