「公式な貧困基準が存在しない中で、マスメディアを含め、日本人の多くは『貧困』をイメージでしかとらえていない」(p.41)
⇒なぜ「公式な貧困基準」がないかというと、「貧困」が、国として対応すべき問題として意識されていなかったから(「一億層中流」というイメージも根強かった)。
⇒この問題に限らず、「イメージでしかとらえていない」ことが多いように思う。
本書では、OECDの「相対的貧困」の算出方法に依拠してデータが示される:
「貧困基準」=「手取りの世帯所得÷世帯構成人数」の中央値の50% (p.46)
本書のデータを見る限り、「子ども」に関する日本の政策は非常にお粗末としかいいようがない。
- 家族関連の社会支出:日本―GDP比0.75%, スウェーデン―同3.54%, フランス―同3.02% (日本はダントツで少ない) (pp. 76-77)
- 教育支出:日本―GDP比3.4%, 北欧諸国―同5~7%、アメリカ―同4.5%, OECD24ヶ国平均―同5.0% (日本はダントツで少ない) (pp. 78-79)
- 児童手当: 72年に発足、児童1人当たり3000円/月。75年に5000円/月に増額。以後、30年据え置き!(75年当時、5000円は養育費の1/2を占めていたという。現在、養育費は必要経費だけでも月16万円以上と推計される。焼け石に水である。) (pp. 81-85)
社会問題は山積みだが、子どもや教育への投資を惜しむべきではない。お金の使い道、間違っていると思う(きちんと調べたわけじゃないけど・・・)。