Monday, January 3, 2011

偉大な記憶力の物語―ある記憶術者の精神生活 ルリヤ/天野

маленькая книжка о большой памяти (1968)の翻訳改訂版。

 本書は、「比類ない発達をとげた直感・完成的記憶力をもち、その超発達が、その人格に驚くべき特殊性をもたらした一人の人間」(p.6)を詳細に「観察」した記録である。

ちょうどその驚異的な記憶力の部分を読み終えたところ。ちょっと一息。面白すぎる。「共感覚」を利用した彼の記憶力/記憶法そのものの描写も面白いが、その記憶法の特殊性を認識していなかった彼が、「共感覚」を使う「自然な」記憶法のままでは、雑音が多すぎて記憶が難しくなる場合がある(文章の方が大変)とか、「忘れること」に苦労した(試行錯誤の末に「自分がそれを希望するか否かを単に自覚すれば」忘れられることを発見)といった具合に、自分の記憶法に自覚的になり、操作しようとしている部分が非常に面白い。

後半が楽しみだ。

Amazon.co.jp: 偉大な記憶力の物語――ある記憶術者の精神生活 (岩波現代文庫): A.R.ルリヤ, 天野 清

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